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2026.02.16案内人:成川 潤

ヤスリをかける音が、自分を調律していく。手道具だけで始める、優しい木工の時間。

マンションにお住まいの方から「本格的な道具がないから、木工なんて無理だと思っていました」という声をよく聞きます。
でも、実はその逆なのです。大掛かりな機械を使わず、自分の手と、わずかな手道具だけで木と向き合うこと。
それこそが、現代人にとって最も贅沢で、最も癒やされる「調律」の時間になるのです。

120番から400番へ。指先が研ぎ澄まされるプロセス

Junshinが推奨するのは、ヤスリ(サンドペーパー)をかけるという、一見すると地味な作業です。
最初は、少し目の荒い120番で、木の表面の凹凸を整えていく。
シュッシュッという一定のリズムでヤスリを動かしていると、いつしか周囲の雑音が消え、
自分の呼吸とヤスリの音だけが響き合うようになります。

次に240番、そして仕上げの400番へと、少しずつ目を細かくしていきます。
番号が変わるたびに、指先から伝わってくる感触が、劇的に変化していくのに気づくでしょう。
カサカサとしていた木肌が、徐々にしっとりとした質感に変わり、
最後にはまるでシルクのような、極上の肌触りへと進化していく。
この「自分の手によって、素材が良くなっていく」というダイレクトな手応え。
それは、デジタルの画面上では決して味わえない、圧倒的な「実存感」を私たちに与えてくれます。

手道具だからこそ聞こえる、木の声

機械を使えば、一瞬で表面を平らにできるかもしれません。でも、手道具は違います。
木の繊維の向き、硬いところ、柔らかいところ。
自分の手に伝わってくる微細な振動を通じて、あなたは木と「対話」をすることになります。

「あ、ここは節があって少し硬いな、優しく削ってあげよう」
「ここは水分を多く含んでいた跡かな、粘りがあるな」

この微細な変化に集中する時間は、禅の世界でいう「動的瞑想」そのものです。
禅の精神を学んだ際に行き着いたのは、特別な修行ではなく、
こうした日常の動作の中にこそ、自分を整える力があるという真理でした。

自分で自分を調律する、静かな夜

一日の仕事が終わり、夜の静寂の中で、お気に入りの板を少しずつ磨き上げる。
作業が終わったとき、そこにはピカピカに磨かれた板だけでなく、
すっきりと整えられた「あなた自身」がいるはずです。
ヤスリ一枚あれば、そこはもうあなただけの聖域です。
大きな音を立てる必要も、広いスペースもいりません。
ただ、一枚の板と、あなたの手があればいい。
Junshinがお届けする天然乾燥の広葉樹は、そんなあなたの「調律の時間」を、どこまでも優しく受け止めてくれます。

案内人:成川 潤 [Junshin-潤森- 代表 ]
林業家、木工家、ウッドライフクリエイター
新潟県阿賀野市の里山を拠点に、あなたと森を繋ぐ「つなぎ役」を務めています。

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