2026.02.17案内人:成川 潤
初心者が最初に知っておくべき、木の「癖」。反りや曲がりは、木が生きている証です。
「せっかく買った板が、少し反ってしまった……」
DIYを始めたばかりの方が、一番最初に直面し、そして一番不安になるのがこの「木の動き」かもしれません。
ホームセンターで売られている安価な乾燥材や、プラスチックのように均一な素材に慣れていると、
板が曲がることは「不良品」のように思えてしまいますよね。
でも、阿賀野の里山で木と向き合っている私から見れば、
板が反ったり動いたりするのは、その木がまだ「生きている」という、何よりの愛おしい証拠なんです。
なぜ木は「動く」のか? そのメカニズムを知る
木は、製品になった後もずっと、周りの環境に合わせて呼吸を続けています。
湿気が多ければ水分を吸って膨らみ、乾燥すれば水分を吐き出して縮む。
この「膨張」と「収縮」の差が、反りやねじれとなって現れます。
特にJunshinがこだわっている「天然乾燥材」は、人工乾燥のように細胞を焼き殺していないため、この呼吸があります。
これは欠点ではなく、木が本来持っている「粘り」や「艶」を保つための代償でもあります。
木は、置かれた場所の湿度に馴染もうとして、必死に自分の形を調整している真っ最中なのだと考えてみてください。
木を手なずける、プロの知恵「ひっくり返す」
もし、手元にある板が反ってしまったら、焦って捨てたり、無理に万力で締め付けたりしないでください。
一番簡単で、かつ効果的な方法は「ただ、ひっくり返して置いておく」ことです。
反りというのは、板の片面だけが乾燥し、もう片面が湿っていることで起こります。
ですから、凸になっている面を上にして置いておけば、
そちら側の水分が抜け、数日後には嘘のように平らに戻ることがよくあります。
「今日は機嫌が悪いのかな? じゃあ、裏返しにして少し休ませてあげよう」
そんな風に、木の状態を観察しながら付き合っていく。
この「手なずける」プロセスこそが、無垢材を扱う本当の醍醐味であり、
あなたの道具への愛着を深くしてくれるスパイスになります。
「癖」を理解すれば、木工はもっと自由になる
木の癖を知ることは、相手の性格を知ることに似ています。
「このサクラは少し暴れん坊だから、厚みを持たせて使おう」
「このクリは素直だから、薄い板でも大丈夫そうだな」
そんな風に、木の「声」を聞きながら設計を変えていく。
それは、単なる作業ではなく、自然界の住人と対話をするような、とても豊かな体験です。
Junshinがお届けする板は、阿賀野の森で培った個性がぎゅっと詰まっています。
完璧な直線ではないかもしれませんが、そこには「生きている命」のエネルギーが宿っています。
反りや曲がりを恐れず、むしろそれを含めた「木の人生」を丸ごと受け入れてみてください。
その先には、既製品では決して味わえない、温もりに満ちた暮らしが待っています。
案内人:成川 潤 [Junshin-潤森- 代表 ]
林業家、木工家、ウッドライフクリエイター
新潟県阿賀野市の里山を拠点に、あなたと森を繋ぐ「つなぎ役」を務めています。

