2026.02.12案内人:成川 潤
時間はかかりますが、風の力で。Junshinが「天然乾燥」という古来の道を選ぶわけ。
現代の木材流通は、いわば「スピードの時代」です。
伐採された木はすぐに製材し巨大な機械に入れられ、高熱の風を当てて数日で水分を飛ばします。
これが一般的な「人工乾燥」です。
これに対し、Junshinが守り続けているのは、里山の風と太陽の光だけに身を委ね、
数年という月日をかけてゆっくりと水分を抜いていく「天然乾燥」という手法です。
なぜ、そこまで非効率なことをするのか。
それは、木が本来持っている「油分」と「粘り」、
そして「生命の色気」を、一滴たりとも失いたくないからです。
「死んだ木」と「生きている木」の違い
人工乾燥は、いわば「木を焼く」行為に似ています。
極端な熱を加えることで、木の細胞は破壊され、大切な油分までが水分と一緒に蒸発してしまいます。
こうして出来上がった板は、見た目は整っていても、触れるとどこかカサカサしており、
しなやかさを失った「スカスカ」の状態になりがちです。
一方で、天然乾燥は違います。
阿賀野の四季折々の風に吹かれ、夏は湿気を吸い、冬は寒さに締まる。
この緩やかな呼吸を繰り返しながら乾かされた木は、
細胞が壊れることなく、適度な油分をその身に宿し続けます。
Junshinの板に触れたとき、指先が吸い付くような、
しっとりとした潤いを感じるのは、木がまだ「生きている」証拠なのです。
100年後のアンティークを創るために
この油分こそが、加工の際の「粘り」を生み出し、仕上がりの艶を左右します。
そして何より、10年、20年と使い込むほどに、内側から琥珀のような深い色艶が滲み出してくるのです。
人工乾燥材が経年で劣化していくのに対し、天然乾燥材は「熟成」していきます。
私たちが風の力を借りて守り抜いているのは、単なる乾燥工程ではありません。
その木が100年後のアンティークになり得るための、不可欠な「準備期間」なのです。
時間はかかります。お届けまでにお待たせすることもあるかもしれません。
しかし、一生、いえ次の世代まで使い続けられる「本物の木」をお届けするためには、
この道しかないと、私たちは確信しています。
案内人:成川 潤 [Junshin-潤森- 代表 ]
林業家、木工家、ウッドライフクリエイター
新潟県阿賀野市の里山を拠点に、あなたと森を繋ぐ「つなぎ役」を務めています。

