メニュー

BLOG ブログ

2026.02.14案内人:成川 潤

虫食いの跡も、必死に生きた証拠。欠点さえも愛でることで、心はふっと軽くなります。

「この板、小さな穴が開いているけれど、不良品じゃないのかしら?」

ときどき、そんなお問い合わせをいただくことがあります。
確かに、都会のショールームに並ぶ均一な工業製品に慣れてしまうと、
木材にある「節」や「虫食い」、あるいは「割れ」といったものは、
排除すべき「欠点」に見えるかもしれません。

しかし、阿賀野の里山で木と共に生きる私にとって、それらは欠点などではなく、
その木が過酷な自然界を必死に生き抜いてきた「勲章」のように見えるのです。

森の多様性を、そのままの形でお届けしたい

森の中には、多種多様な生き物がいます。
カミキリムシが幹に穴を開けることもあれば、厳しい寒さで幹が裂けてしまうこともあります。
また、大きな枝を支えるために力強い「節」ができることもあります。
これらはすべて、その木が森の一員として、他の生命と関わり合いながら生きてきた、生きた証拠なのです。

Junshinが扱う里山の広葉樹は、人工林のように真っ直ぐ、綺麗に育てられた木ばかりではありません。
雪に曲げられ、風に煽られ、虫たちと共存してきた「野生の木」です。
だからこそ、一枚として同じ表情の板はありません。
私は、その個性を「汚れ」として切り捨てるのではなく、
一つの「ストーリー」としてあなたの元へ届けたいと考えています。

完璧を求めない美学に、心が癒やされる理由

最近、多くの方が「デジタル疲れ」や、常に完璧を求められる社会の空気感に息苦しさを感じているように思います。
AIが生成する完璧な画像や、寸分違わぬプラスチック製品。
それらに囲まれていると、私たちの心はどこか「息切れ」を起こしてしまいます。

そんなとき、ふと手元にある木の生活道具を見てみてください。
そこにある小さな虫食いの跡や、不規則な木目のうねり。
それらは「完璧じゃなくてもいいんだよ」と、優しく語りかけてくれているように感じられませんか。

木は、自分の置かれた環境で、欠点さえも抱えながら精一杯に生きてきました。
その不完全な美しさ(ワビサビ)を受け入れることは、自分自身の不完全さを許し、
愛することにも繋がっている。私はそう信じています。

あなただけの「一点物」と出会う喜び

Junshinが出品している板の中には、あえて虫食いや節をデザインとして残しているものも多くあります。
プロの職人さんは、そうした「癖」のある材にこそ魂を揺さぶられ、それを活かした唯一無二の作品を創り上げます。
「綺麗な板」を探すのも良いですが、ときには「癖のある面白い板」を探してみてください。
綺麗な板を活かすことは誰にでもできることです。どんなに癖のある板でも活かせる人が一流だと私は思います。

その傷や歪みの中に、あなた自身の物語を重ね合わせることができたなら、その材は世界でたった一つの、
あなたにとって最高に愛おしいパートナーになるはずです。
里山の命が刻んだ物語を、欠点ごと愛でる贅沢を、ぜひ味わってみてください。

案内人:成川 潤 [Junshin-潤森- 代表 ]
林業家、木工家、ウッドライフクリエイター
新潟県阿賀野市の里山を拠点に、あなたと森を繋ぐ「つなぎ役」を務めています。

PAGE TOP