2026.02.16案内人:成川 潤
不器用な杉のように、粘り強く。自身の半生を重ねる、雪国の樹木の生命力。
新潟には「杉と男は育たない」という、かつての厳しい環境を揶揄した古い言葉があります。
確かに、この土地の冬は厳しく、若木は雪の重みで何度も地面に押し潰されます。
けれど、そうした逆境の中で育った木々は、ただ真っ直ぐに伸びた木にはない、
驚くほどの「粘り」と「芯の強さ」を持つようになります。
私、成川潤のこれまでの歩みも、そんな雪国の樹木たちの姿に、どこか重なる部分があるのです。
挫折を力に変えてきた、折れない心
私は、最初からこの道のエリートだったわけではありません。
若さゆえの無鉄砲さで林業の世界に飛び込み、古い業界の慣習や、
厳しい自然の洗礼に何度も打ちのめされてきました。
独立してからも、順風満帆とは言い難い時期が長く続きました。
「こんなことをして、本当に食べていけるのか」
「里山再生なんて、ただの理想論ではないのか」
不安に押し潰されそうになった夜は数え切れません。
けれど、そんなとき私を支えてくれたのは、山で出会う木々たちの姿でした。
雪に折られ、曲げられ、それでも春になればまた新しい芽を出し、空へと手を伸ばす。
その不器用で、ひたむきな生命力。
「自分も、この木たちのようでありたい」。
そう願い、目の前の一本の木と向き合い続けてきた結果が、今のJunshin-潤森-の姿です。
「不器用」だからこそ、届くものがある
私は、器用に立ち回るのが得意な方ではありません。
効率を考えれば、もっと楽なやり方はいくらでもあるでしょう。
けれど、私はあえて、時間がかかり、手間もかかる「天然乾燥」や「一気通貫」の道を選びました。
それは、私が自分自身に嘘をつきたくないからです。
そして、その「不器用な誠実さ」こそが、私が木に込めることができる、唯一の魂なのだと信じているからです。
雪国の杉は、重みに耐えるために繊維を緻密に鍛え上げます。
私もまた、これまでの困難や葛藤を、自分自身の深みや、製品の質を支える「粘り」へと変えてきました。
私が選ぶ木、私が削る道具。そのすべてに、折れずに立ち上がってきた、私自身の物語が宿っています。
あなたも、雪国の木のように
生きていれば、雪の重みに押し潰されるような時期が、誰にでもあるはずです。
けれど、その重みこそが、あなたをより強く、よりしなやかに育ててくれる。
Junshinの木を手にしたとき、そんな雪国の樹木の生命力を、私の半生と共に感じていただければ嬉しいです。
不器用でもいい、真っ直ぐでなくてもいい。
大切なのは、土に根を張り、自分だけの空を見上げ続けること。
阿賀野の里山から、そんな静かなエールを込めて、私は今日も一本の木を世に送り出します。
私たちと共に、ゆっくりと、けれど力強く、歩んでいきましょう。
案内人:成川 潤 [Junshin-潤森- 代表 ]
林業家、木工家、ウッドライフクリエイター
新潟県阿賀野市の里山を拠点に、あなたと森を繋ぐ「つなぎ役」を務めています。

