2026.02.17案内人:成川 潤
塗料を塗り込む、慈しみのひととき。木があなたの色に染まっていくのを、ゆっくりと。
木工の全工程の中で、私が最も好きで、そして最もドラマチックだと感じる瞬間。
それが、最後の「オイル(またはガラス塗料)仕上げ」の工程です。
それまで白っぽく、少しカサカサしていた板が、塗料を含んだ瞬間にパッと色が深まり、
隠れていた美しい木目が鮮やかに浮かび上がってくる。
まるで、木が深い眠りから覚め、一気に息を吹き返したかのような、
あの感動的な瞬間を、ぜひあなたにも味わってほしいのです。
オイル(またはガラス塗料)仕上げは、木との「握手」です
Junshinでは、ウレタン塗装のような表面をプラスチックの膜で覆ってしまう仕上げではなく、
木の中に染み込んで内側から守る「オイル(またはガラス塗料)仕上げ」を推奨しています。
オイルを塗るということは、木の呼吸を止めないということです。
あなたが布にオイルを含ませ、円を描くように優しく板に塗り込んでいく。
そのとき、オイルは木の細胞の隅々まで行き渡り、
木とあなたの手が一つに溶け合っていくような感覚になります。
それは、これから長い月日を共にする相棒との、最初の固い「握手」のようなものです。
暮らしの記憶を、色艶に変えて
オイル仕上げの最大の魅力は、その「育つ楽しみ」にあります。
最初は明るい色をしていたサクラも、数年経てば深みのある琥珀色へと変化していきます。
あなたが毎日触れ、ときにはこぼしたお茶の跡や、小さな傷。
それらすべてが、オイルと共に木の中に沈み込み、世界にたった一つの「あなたの家の色」を作り上げていきます。
「この艶は、あのとき一生懸命手入れしたからだな」
「この飴色は、あの日差しが強い窓辺に置いていたからだ」
そんな風に、木の色艶を見るだけで家族の歴史を振り返ることができる。
オイル仕上げの家具は、単なる物ではなく、あなたの暮らしを静かに記録し続ける「記憶の器」なのです。
メンテナンスという名の、自分を整える時間
年に一度、あるいは半年に一度。少し色が褪せてきたかな、と感じたときに、再びオイルを塗り直してあげる。
その静かな作業は、道具を大切にするだけでなく、
忙しい日常の中で置き去りにしがちな「自分の心」を、ゆっくりとメンテナンスする時間にもなります。
Junshinでは、木の呼吸を妨げず、かつ高い耐久性を持つ浸透型のガラス塗料なども研究し、ご提案しています。
「手がかかる」ことは「愛せる」ことです。
あなたが手をかけるほどに、木はそれ以上の美しさで応えてくれます。
阿賀野の森から届いた一枚の板が、あなたの手によって「一生ものの宝物」へと変わっていく。
その美しき変化を、どうぞゆっくりと楽しんでください。
案内人:成川 潤 [Junshin-潤森- 代表 ]
林業家、木工家、ウッドライフクリエイター
新潟県阿賀野市の里山を拠点に、あなたと森を繋ぐ「つなぎ役」を務めています。

