2026.02.21案内人:成川 潤
数値だけを信じるな、己の指を信じろ。プロの加工を支える「木の乾き」の見極め方。
「成川さん、この板の含水率は何%ですか?」
プロの作家様から、よくいただく質問です。もちろん、乾燥状態を客観的に示す数値は重要です。
Junshinでも、しっかりと日本の気候に馴染むまで、数年かけて天然乾燥させています。
しかし、私が本当にお伝えしたいのは、含水率計が示すデジタルな数字だけよりも、
あなたの指先が感じる「木の乾きの質」です。
人工乾燥の「カサカサ」と、天然乾燥の「しっとり」
現代の主流である人工乾燥材は、短時間で数値を下げるために高熱をかけます。
その結果、数値上の含水率は低くなりますが、木の細胞はスカスカになり、
大切な油分も水分と一緒に奪われてしまいます。
これは、いわば「ミイラ」のような状態です。
一方で、Junshinが守り続ける天然乾燥材は、数値が同じであっても、触れた瞬間の「質感」が全く違います。
指先に吸い付くような、どこかしっとりとした潤い。
これは、木の細胞が壊れず、油分がしっかりと内部に残っている証拠です。
刃物の「入り」でわかる、命の粘り
プロの皆様なら、刃を入れた瞬間にその違いを実感されるはずです。
天然乾燥材は、繊維に「粘り」があります。削りカスがパラパラと崩れるのではなく、
シュルシュルと長く、美しいリボン状になって剥がれていく。
この粘りがあるからこそ、刃物が吸い付くように走り、仕上げの際にシルクのような極上の艶が生まれるのです。
「数値」は安心のための指標ですが、「感覚」は感動のための指標です。
あなたの指先が「あ、これはいい乾きだ」と感じるその直感こそが、最高の作品を生むための確かな指針となります。
新潟の風を、指先で読み解く
新潟の里山は、冬は雪に閉ざされ、湿度が非常に高くなります。
夏は一転して乾いた風が吹き抜けます。この過酷なサイクルを数回繰り返しながら乾いた木は
、日本の家屋の激しい気候変化にも動じない、驚くほどの「落ち着き」を持っています。
Junshinがお届けする板は、私が一枚一枚、実際に手で触れ、その「乾きの質」を確かめたものばかりです。
数値を超えたところにある、本物の木の呼吸。その手応えを、ぜひあなたの工房で確かめてみてください。
案内人:成川 潤 [Junshin-潤森- 代表 ]
林業家、木工家、ウッドライフクリエイター
新潟県阿賀野市の里山を拠点に、あなたと森を繋ぐ「つなぎ役」を務めています。

