2026.02.21案内人:成川 潤
「歩留まり」という言葉の、その先へ。市場が捨てた根曲がりに、最高の価値を灯す。
木材業界には「歩留まり(ぶどまり)」という厳しい言葉があります。
一本の丸太から、どれだけ無駄なく、真っ直ぐで綺麗な製品が取れるかを示す指標です。
この物差しで測れば、雪の重みでぐにゃりと曲がった「根曲がり材」は、最低のランクを付けられます。
製材に手間がかかり、取れる板の量も少ないからです。
しかし、Junshinはあえて、その「効率の悪さ」の先に、真実の美しさがあると考えています。
効率の犠牲になった「野生の美」
市場で高く評価されるのは、節がなく、木目が整然とした「大人しい木」です。
確かにそれらは使いやすいですが、どこか工業製品に近い冷たさを感じることがあります。
一方で、急斜面で雪に押しつぶされ、それでも光を求めて空へと立ち上がろうとした
根曲がりの材には、凄まじい「野生の意志」が宿っています。
私たちは、そんな市場が捨てた「厄介者」を、あえて手間をかけて作品へと昇華させます。
根曲がりの内部には、圧縮された細胞が作り出す「縮み杢」や「波状杢」といった、
3%の奇跡と言われるほどの希少な杢目が眠っていることが多いのです。
それは、効率を最優先した建材用の木材では、決して出会うことのできない「自然の芸術」です。
捨てられるはずだった命に、名前を与える
「この曲がりを活かして、ベンチの脚を作ったらどうだろう」
「この複雑な杢目は、レジンの中に閉じ込めてテーブルの主役にしよう」
そうやって、捨てられるはずだった命に新しい価値を見出し、新しい名前を与えること。
それが、里山再生を掲げる私のプライドです。根曲がり材は、製材機の上でも暴れます。
乾燥中も、真っ直ぐな板より何倍も気を使います。
でも、その手のかかるプロセスこそが、完成したときの圧倒的な「存在感」へと繋がっていくのです。
「欠点」を「物語」へと書き換える贅沢
プロの表現者の皆様。整然とした美しさに飽きたなら、
ぜひこの「根曲がり」のドラマを手にとってみてください。
そこにあるのは、単なる木の板ではありません。
新潟の厳しい冬と、それに負けなかった生命の「叫び」と「歓喜」が刻まれています。
歩留まりという経済の論理を越えたところにある、至高の価値。
それをあなたの手で、永遠の形に変えてください。
新潟の森が育んだ「不屈の生命力」が、あなたの作品に唯一無二のオーラを灯してくれるはずです。
案内人:成川 潤 [Junshin-潤森- 代表 ]
林業家、木工家、ウッドライフクリエイター
新潟県阿賀野市の里山を拠点に、あなたと森を繋ぐ「つなぎ役」を務めています。

